【保険なしで日本の病院に行く話】
昔、就活で日本とカナダを行ったり来たりしていた。就活感が薄いグレースーツの1日は、デ
パ地下で終わる。お弁当を買って、ホテルで食べる。 「仕事が決まれば、日本に住める!ジャパニーズ・ドリームを実現してみせるぜ!」
そんな事を思いながら食事を済ますが、お腹が痛くなった。とても痛くなった。しろたえのトイレットペーパータイムが始まり、水を飲んでも数分後には「考える人」のポーズだった。体が水分補給出来ない。脱水と熱で倒れそうだった。タクシーで病院に行く。
熱、血中毒、下痢症。食べた物に問題があったと医者は言う。点滴で数時間、虎ノ門病院の天井を観続ける。保険が無かった(旅行保険に加入してなかった)。何処か飛べるぐらいの治療代を払って、真夜中に帰る。
体調に自信が無くて、翌日の予定はキャンセルした。「食中毒で入院してた」と先方に伝えたが、これが問題発言となる。
日本語力が未熟で、「食中毒」と「食あたり」の違いが分からなかった。前者は food poisoning の直略で問題ないと思ったが、日本語で「食中毒」と言うと大ごとだ。本当は「食あたり」だった。ドタキャンで「食中毒詐欺」をしているクレームを受けた。
さらに、私は「入院」ではなく、正しくは「通院」をした。「通院」という言葉を知らなかった。「入院詐欺」のクレームも追加で先方はドタキャンをとても怒っていた。
入院は「入」と「院」なので、「院に入る」という覚え方をしていたのがダメだった。「入室」と同じで「入る」だけだと思ったが、入院は泊まらないといけない。入浴も「入」と「浴」だが、浴室で泊まらなくても「入浴」になる。日本語はなんて難しいのだ。
オムツ装備で無理してドタキャン回避する事も考えたが、相手がとても怒っていたので無駄だと思った。「食中毒/食あたり、入院/通院の日本語を間違えました」じゃすまなかった。
仕方がなく「食中毒詐欺」と「入院詐欺」の称号の付いたリスケになった。
異国に住むには、体力の自信が必要だと思ったが、それ以上に日本語能力が重要だと感じた。
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